で、オーナーが時間かけて探してた割にでてきた書類は2枚。貸借契約と不動産屋手数料の書類。ここで注釈、賃貸契約を正式な手順・書類で契約すると少なくとも以下の書類が必要となる。
1.貸借契約のメイン書類(貸す人(大家)借りる人が各自で記入作成。互いの意思確認を書類で済ませたという証拠に書類を交換してサインし合う。)(例えば大家が夫婦名義、借りる人が私達のように2人の場合合計4人の略式サインを記入)
2.保証金に関する書類(日本で言うなら敷金。とは言え安心せずに”トラブル・破損がない場合は返却あり”と明記されていることを確認)
3.不動産屋への手数料に関する書類(これを省略しようとする不動産屋は多い。どのみち借りる人には返ってこないお金なのでこの書類をもらわなくても気にしない人も多いみたいだが、不動産屋がこの書類を省略するのは税金逃れのためです。ただし小切手で支払った場合はエビデンスが残るのでその限りではない)(現金での支払いを勧める大家は多い)
4.各支払いを小切手で支払った場合は必ず現物コピーをもらうこと。
5.物件の破損状況を自分が入居する前に専門家(または大家)立会の元でチェックしたという証明書類
6.家具付き物件の場合は、家具・電化製品等備品の個数表とそのダメージ状態を明記された書類(同じものを貸し借りする人共に保管)(ムダにどの備品にも「Douche en tres bon(とても状態が良い)」「bon(良い状態)」と大げさに書かれている 笑 ケチつける必要ないが、ダメージがそこそこある場合は、その場で指摘して書類に明記すること)
7.アスベスト(L'amiante)を使用した建物ではないことの証明書(専門家による証明書)
8.水道水に鉛(Le plomb)が含まれていないことを検査した証明書(専門家による証明書)
9.住宅保険の加入証明書
それなのに差し出された書類2枚…しかもオーナーから「不動産手数料の書類ね」と言って手渡された書類はよくよく見ると保証金書類であった。しかもそのことに気づいたのは家に帰宅した後である。まったくのノータッチで役たたずの分際の自分ではあるが書面をきちんと読まずにサインをした夫に思わず抗議してしまった。「書類の題名ぐらいきちんと読むのは常識」
翌日また不動産屋を訪れ書類の間違いを夫が指摘すると、オーナー「大丈夫だいじょうぶ。あなたフランス人でしょ?どうせ小切手で払うんでしょ?だったら書類の金額より小切手のコピーでちゃんと保証金と手数料と違いを分かるようにするから」
い・い・加減・にしろ!!!!
夫もこういう曖昧さは許せないタチなのだが、ここは店員至上主義の国。”この店が気に食わないならヨソへ行け”が当然なので、書類をきちんと作って欲しいと言うのに苦戦している。
「〇〇さん(オーナーの名前)、信用してますよ。でもね、金額だったり契約内容だったり、その時は覚えていても1年もすれば忘れてしまうものだよ。私、日本の自分の職場でそういうこといっぱいあったよ(ウソ。業種的に書類なく口頭確認・約束などない。むしろ書面確認しても契約内容を忘れるのが普通)」私の話し方が不自然な翻訳風なのは私のショボイ語学力のせいだが、まあいきなり口を出してみた。
するとオーナーはため息をつく。夫は明らかに”この物件はもうだめかもしれない。店を追い出されるかもしれない”という顔をしていた。
オーナー「普段より丁寧に説明して書類も書いたのに!今まで日本人だってこんな面倒なこと頼んできたことないよ。みんな手数料を現金で置いていって、保証金のレシート渡して、契約書を簡単に書いて、トラブルひとつもなかったよ!」
ゴクリ。…追い出される…
オーナー「全部書類渡すよ!その代わり自分たちで書いてよ!」戸棚から契約キットらしきものを取り出す。
いやいややっぱりちゃんと正式書類あるんじゃん。
ようやく日記冒頭の書類を正式記入・受け取りが始まった。それに自分達で書いてよって言うからどれだけ記入欄があるのかと思えば、各書類に支払いの金額・物件の住所・部屋の説明(何部屋・家具つきかなしかとか)・不動産屋の住所と不動産屋の名前(自分のことくらい自分で書けよと思ったが、私たちが書いた…)
ちなみに後日談。決して日本式で「お客様は神様です」的な態度をとったわけでもなければそういう扱いを望んだわけでもない。しかしその後オーナーの”パリで他の日本人はこんなに形にこだわらない”の言葉が気になり、自分は横柄であったかと疑問がわいた。そこで何人かの日本人に聞いてみると…
1.貸借契約のメイン書類、2.保証金に関する書類、6.家具付き物件の場合は、家具・電化製品等備品の個数表とそのダメージ状態を明記された書類、9.住宅保険の加入証明書
は絶対もらうべきものだという。しかし、
7.アスベスト(L'amiante)を使用した建物ではないことの証明書、8.水道水に鉛(Le plomb)が含まれていないことを検査した証明書、
そして3.不動産屋への手数料に関する書類、は「払ったことを証明するレシートはもらったけど、書類は書いたことない」という人が多かった。7,8に関しては「そんなものあるの知らなかった」という人が圧倒的で、証明書自体もらったことがないのか受け取ってはいるが気づいていないのか不明。
フランスでフランス人が借りる時は用意されるほうが多い1〜9の書類。外国人が借りるから省略しないはずの書類が省略されるって、なんか切ないね。夫の予想では企業の駐在関係の人や家賃が高いとこに住む場合は外国人とか関係なく揃うレベルで普通の書類のようです。ただシェア物件や、大家・不動産屋はいるけど実質前入居者と次入居者で引き継いていくような物件に関しては書類や証明書を略すのが通常ということらしい。
逆に私たちが気づいてないけど”この書類も必要”というのがあれば、知りたいなあ。
ということでなんとか無事契約でき、入居が楽し…本当に入居できるのか?