夫が日本にきてから(妊娠後期)妊婦健診には一緒に出向いていた。妊娠35週目あたりでバースプランを聞かれたが特にないため空欄のまま、別欄の立会出産の希望を問われたときに突然横から夫が「はい、立会ます」と答えたのが始まりだった。(夫婦なんだから打ち合わせしておこうよ)
立会出産については、日本と同様フランスでも男たちの間で賛否両論があるようだ。やはりその後セックスレスになる人、立ち会ってひっくり返る人。ちなみに私の産院でもひっくり返る人(男)は結構いたらしく、その理由として出産開始以降の血はともかく医療器具のカチャカチャ音にノックアウトされる人(男)が多いのでは?というのが看護師や助産師の見解であった。
「具合が悪いと思ったら無理をしないですぐ退出してくださいね。私たち(看護師・助産師)はお母さんを診る人、赤ちゃんを取り上げる人そして医師と担当が決まっていますから、万が一お父さんが倒れたときは運び出すための人手が足りなくて困るので。」
夫はハイハイもちろんと承諾していた。
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これまで立会出産について彼の意向は変化してきた。
・妊娠初期
「立会いは止めとく(キッパリ)フランスでもそのあとトラウマになる人多いんだよ」
・妊娠中期
「迷うなー。調べておこう」
「なんか大丈夫かも」
「一人で産むのと、私(夫)がいるのどっちがいい?」
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私自身、立会出産についてはむしろ消極的だった。出産に限らず、結局痛みや苦しみを伴う経験は本人(私)が乗り越えるしかなく、その場に医療従事者がついていてくれるとなればそれで十分心強いではないか、と。
しかしいざ産院で立ち会うと夫が答えた以上、立ち会う本人である夫自身の決断であるため必要以上に阻止するのもおかしなはなしなので、特に深く話し合う事もないまま、「絶対頭側でついているからね!!」という夫の決意表明だけは妊娠中に一日一回は聞いて出産当日を迎えた。
そんなわけで、考えを捏ねくり回すこともなく夫がいて当たり前の分娩を経験した。
普段から血や汚物が一切だめな彼であったが(ホラーやサスペンス映画は絶対みない)、当然出産時にはいろいろ見たとは思う。後しかし産やら会陰切開を視界の端でしかししっかりと見たようだがそれも平気であったらしい。
おまけに出産後の私の後処置(会陰縫合やらのとき)の最中にヒマを持て余した夫は、助産師に「(部屋の隅にいる)赤ちゃんを見てもいいですか?」と聞き、「いいですよー。でも奥さん(私)の頭側は点滴類あって触れてほしくないので、足側からきてください」と言われ、あれだけ血だの内臓(胎盤?)はニガテなのとほざいて本音を打ち明けていたが、縫合中の大股を開いた妻など視界に入れず胎盤が放置してある足側を周り嬉々として赤ん坊のとこに飛んでいっていた。
「分かった!僕は本来出るものが出る(赤ちゃんやら胎盤)のを見るのは案外平気だ!採血とかがだめなの。あとやっぱり手術しているとことか戦争で怪我した人とかは見れないと分かった」
じ、自分を知れて良かったね・・
さて、立会出産による私の精神面はというと…まず物質的に助かりました飲み物とってもらったり。噂通りやっぱ自分でするのはちょっとしんどかった。
あと陣痛のとき腰をさすってもらったのも、この文書くまですっかり忘れてたけどかなり嬉しかった。でもやっぱり助産師のひとさすりは的確で、そこは、ね。助産師さんにさすってもらうと痛みが消えた。夫がさすったときは・・不安が消えた(と一応言っておこう)
でもやっぱり、いきみ自体は40分足らずでしたがそのとき一緒にいてくれたのが一番心強かったな。
陣痛があるときは割と自分自身の中で痛みと向き合っての逆四面楚歌、あと無痛分娩だったので麻酔効いてからは和気あいあいと夫と会話をしていた。で、いきみとのきも麻酔はきいて痛みはないものの土壇場になって「本当に産まれるかな」「元気かな」とたちまち少し不安になったのでした。
立会出産が良かったかどうかは分からない。
アンタこの期に及んで(ここまで書いておいて)何言ってんの?と言われそうだが、私は第一子しか出産しておらず立会ってもらっていないお産をしたことないので比較しようがない。
言うならば、”悪くなかったよ”です。
私、妊娠中だけじゃなくて、出産後もかなりこの辺に神経質になっているな。
後日もう少し考えまとまったら書くかもしれないけど、妊娠中や出産して育児始まると、素敵な人や言葉にもいっぱい出会えるけど残念なことにそれと同じくらい変なこと言ってくる人っていっぱいいる。悪気はないのだけど、イラッとします。私も気を付けなきゃな。
人間、いろんな経験をするのは良いことだけど、決してすべての経験をできるわけじゃないっていう自覚と謙虚さは絶対必要よね。はは、何にイライラしてんだか・・はぁ。
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先日、そういえば何で立会出産しようと思ったの?とようやくたずねたところ「実際痛かったり苦しいのは私(夫)じゃなくてのえみでしょ。だから見守って一緒にいることくらいは自分もしなきゃって思った」だそうで、当時あんなに親身だったのに心のどこかで”でも痛いのは自分じゃないし”と思っていた夫がいたと思うと、笑えます。結局夫婦も他人だな!